夜の信号待ちの気配が体にしみこんでいた。
初夏だった。
行きたい場所へ行けるようになり
行きたい場所を選ぶことができるようになり、
ずいぶんとこの街に慣れてきたことが
道路標識やアスファルトを、身近に感じてきたことが、
不意に不思議なことに思えた夜の気配を、よく覚えている。
あれから2回の引っ越しをして、
そのたび泣きたいようないとおしい気持ちになって
たくさんのものに手を振って
大切なものを抱きしめて、ぼくはあるいてきた。
駅をおりると、山を背にしてやさしい灯りがともる街。
もう急な坂道をのぼることはない。
緑の香りのなか、音につつまれた余韻を胸に。
-セットリスト-
2019.6.16
谷町九丁目 ワンドロップ
インディゴのすこし先
BUS STOP
君が生まれた日の空は
桃と音楽
みぎてとひだりて
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